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『ボブ・ディラン自伝』その4 伝記物にフォークソングを重ねたボブ・ディラン

投稿日:2017年5月22日 更新日:

住まいの近くには大きな書店はなかったといいますから、レイ・グーチの本棚がボブ・ディランにとって書店や図書館の役割を果たしていたようです。「わたしはいつも関心を本に向け、考古学者のように本を発掘した」(P.47)といいます。その中でもボブ・ディランは、主に詩と伝記の本を好んでいたようです。音楽家でもあったプロイセン王国のフリードリッヒ大王の伝記物を読み、合わせてクラウゼヴィッツの『戦争論』も読んでいます。ボブ・ディランはクラウゼヴィッツは時代遅れではなく現実的なことが多く含まれていると評価したうえで、戦術論については興味深々で読んでいて「そういうことについて、わたしは気味が悪いくらい夢中になった」と語っています。啓蒙的な発想を持ち、陸軍士官学校に行きたいと思っていた若者の素直な知的発揚だったのではないでしょうか。

ボブ・ディランはフォークソングを本に例えています。歌詞を何番か歌うだけなのに、まるで一冊の本のようだと言っていいます。フォークソングが持つ物語性や、人物を題材にした伝記物にフォークソングを重ね合わせていたのではないでしょうか。そしてミルトンの詞を声に出して音読したり、バイロン、シェリー、ロングフェロー、ポーなどの詩を読み、ポーの「鐘」を暗記してギターにのせてメロディーをつけたりしています。ボブ・ディランはどんどん長い詩を読むようになり、さらにそれを暗唱していきます。バイロンの『ドン・ジュアン』を集中して最後まで全篇を読んだといいます。『ドン・ジュアン』は家主のレイ・グーチも暗唱していた詩でしたね。こういった長詩をじっくりと暗唱する習慣は、ボブ・ディランを落ち着かせたようです。ボブ・ディランはそれまで聖書としてあがめていたジャック・ケアルックが『路上』で描いた新しい考え方への興味を失ったと言っています。若くして重厚な感覚が身についていったように思います。

ボブ・ディランがニューヨークに上京して初期の頃にレイ・グーチという人物に出会ったことは、その後のボブ・ディランに相当の影響を与えたことがわかります。ボブ・ディランは、祖先に貴族を持ち陸軍士官学校に入学できるほどのエリートであるレイ・グーチから知的教養を感じ取り、またレイ・グーチが所有する古典を含む豊富な書籍から多くを学んだ。それはボブ・ディランに詩的、文学的な影響を与えただけでなく、静かに本を読み、詩を暗唱する静的、内向的な落ち着きを与えたのでした。ボブ・ディランに啓蒙主義的な素地があったからこそ、レイ・グーチや古典の価値がわかったともいえるかもしれません。最後にボブ・ディランの歌は長いものが多いのですが、この頃に影響を受けていたことは歴然です。

私はボブ・ディランの『廃墟の街』*が好きです。長いですよ(笑)

『廃墟の街』 アルバム『追憶のハイウェイ61』収録(1965年/ソニーレコーズ) 『MTVアンプラグド』収録(1995年/ソニーレコーズ)も超カッコいいですよ・・・・・(著者)

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