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『ボブ・ディラン自伝』その3 エリート軍人に憧れた若き日のボブ・ディラン

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写真は『ブートレッグ』シリーズの初回限定版。LPレコードのサイズのボックスにCDが3枚入っている。

ボブ・ディランは少年時代に本や作家に夢中になることはなかったそうですが、物語は好きだったと回想しています。ジュール・ヴェルヌやH・G・ウェルズの物語のほか、私はよく知らないのですがルーク・ショートという人の書いた西部の物語が好きだったようです。そして当時のアメリカの若者に影響を与えたジャック・ケアルックの『路上』やアレン・ギンズバーグの『吠える』などを青年になったボブ・ディランも読んでいたようです。『路上』はレイ・グーチの部屋で古典や伝記文学に出会うまでは「聖書」だったとまでボブ・ディランは言っています。青雲を抱く若者にとってジャック・ケアルックの『路上』は正にバイブルだったのでしょう。

少し話がそれますが、これも面白かったので青年ボブ・ディランの歴史観に触れてみたいと思います。ボブ・ディランが生まれたのは1941年ですから第二次世界大戦の真っ只中ということになります。終戦が1945年ですからボブ・ディランが物心がつく頃には第二次世界大戦は終息していました。1951年にボブ・ディランは小学校に入りますが、そこで空襲警報の訓練を受けたと言っています。ロシアの空襲を想定した訓練です。ボブ・ディラン自身はアメリカがそこまでロシア人を怒らす事をしたのかわからなかったと感想を漏らしていますが、アメリカ人が共産主義の脅威をいかに感じていたかを示す興味深いエピソードですね。1951年当時は日本ではGHQによる公職追放が盛んに行われていた年です。ボブ・ディランは上京した当時、ニューヨークにも共産主義者が多数いたことを感じながらも、こんなことを言います。「啓蒙の時代は第二次世界大戦によって終わったと言われていたが、わたしはそれを知らなかった。わたしはまだ、啓蒙の時代にいた。とにかく、その光をまだ覚えていて感じることができた。そして本を読んだ。ヴォルテール、ルソー、ジョン・ロック、モンテスキュー、マルティン・ルター 未来を見通していた人々、革命者たち。彼らを本当に知っているような気がした。わたしを囲む背景のなかに彼らが生きているような気がしていた」(『ボブ・ディラン自伝』〈P.36〉) そして同時代に生きた人間は、啓蒙時代(古典)の雰囲気を残すアメリカと共産主義が世界を二分するするようになった後のアメリカの二つの世界に属していたとボブ・ディランは回想しています。そんなボブ・ディランがシンガーになると決める前に行きたいと思っていた場所はウェストポイントつまり陸軍士官学校だったのです。ボブ・ディランはエリートの軍人に憧れる普通のアメリカの若者だったのです。

次回に続きます。

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