「大宮アルディージャマガジン バモス」(VOL.112 9月1日(金)発売)がクラブから送られてきた。
VOL.112は江坂任選手のインタビュー記事が巻頭で掲載されているほか、伊藤彰監督のインタビュー記事や、新加入選手の特集、過去の試合結果のサマリー、選手のプライベートの動向など、様々な記事が載っている。
写真もカッコよく、紙質も上質で、これで定価が500円(税抜)は安い。年4回発行されていて、本屋でも購入できる。
さて、9月1日発売号の記事に少し触れたいと思う。
「おやっ?」と思うインタビュー記事がいくつかあったので紹介したい。
まず巻頭の江坂任選手のインタビュー記事。
江坂任選手は昨シーズン攻撃を牽引した家長昭博選手と泉澤仁選手が担った役割を自身で果たそうとしているようだった。
このチームに貢献しようとする精神は素晴らしいと思う。
今シーズンの江坂選手のプレイを見ていて、中盤をフォローしようとしていたのは、このようなマインドからだったかもしれない。
しかしそれは相手DFからみて怖いことなのだろうか?
江坂選手が前線で裏を狙うことのほうが、よっぽど怖いことなのではないだろうか?
江坂選手は家長昭博選手からプレイの影響を受けたと言っているし、それは理解できる。しかし江坂選手と家長選手はプレイスタイルも特徴も違うのだから、自身の強みを活かせばいいのではないだろうか。
私は江坂選手がアシストに比重をおくのではなく、得点をとることに特化したほうがチームに貢献できるし、代表選出への可能性も広がったのではないかと個人的には思っている。
チームは江坂選手のような献身的なマインドを持つ選手の才能を利用するのではなく、伸ばしてほしいと願っている。
次に伊藤彰監督のインタビュー記事。
ここで「おやっ?これは大丈夫かな?」と思うことが載っていた。
それはコーチ時代と監督になってからの選手の接し方を変えなというものだった。
同じインタビューの中で伊藤彰監督自身が言っているように、監督が選手に「どう?」って聞けば、選手は「大丈夫です」というに決まっているのだ。
伊藤彰監督はそれでも選手たちに飛び込んでいかないといけないと・・・。と言っている。
これを厳に戒めた監督がいる。
マンチェスター・ユナイテッドを26年間指揮して、数々のタイトルを獲得したサー・アレックス・ファーガソンだ。
アレックス・ファーガソン自身も若い頃は、選手からの求心力を弱めないために、選手の中に入って陣頭指揮を執っていたが、ある時、一歩引いて、選手との距離を取るようになってから、ものの見方が変わったと言っている。
ファーガソンは指導者が選手と友達のように接することも戒めている。
監督になれば同僚だったコーチも同僚ではなくなり、上司になる。上司だから偉いという意味ではない。監督は統括して見なければならないのだ。それは選手に対しても、コーチに対しても同じことが言えるのではないだろうか。
基本的にはコーチに任せる。
一歩引いたところから選手を見る。
先達の知恵を借りない手はないと思うのだが、いかがだろうか。
もしかしたら、2部リーグや3部リーグのように予算も限られ、コーチングスタッフの数も少ないようなクラブチームなら、選手の中に飛び込んでいくような指導のほうが有効なこともあるかもしれないが。
インタビュアーは伊藤彰監督に守備のセットプレイをゾーンディフェンスにした理由を聞いている。たいへんいい質問だと思う。
その理由は私にはとうてい納得のいく答えではなかったが(笑)、残念なのは、ゾーンディフェンスでの失点の理由と改善策の質問がなかった。(スタッツが分からなくて恐縮だが、4失点以上はゾーンディフェンスでやられていると思う)
もし伊藤監督にそれが分かっていなければ、コーチに分かるはずもなく、まして選手に分かるはずもないのだ。
こういった点も一歩引いて見ているのかが大事になるのではないのだろうか?
最後に「ROOTS」という特集に黒川淳史選手が出ていた。
ここでも出てきました。「FCバルセロナ!」(笑)
黒川淳史選手はイニエスタが好きみたい。(笑)
イニエスタが好きなだけでなく、プレイスタイルもイニエスタを指向していることが感じられる。
本物の「インテリオール」だね。(笑)
実は私は伊藤彰監督と黒川淳史選手と似たような価値観を持っている。(笑)
グアルディオラが率いていた時のFCバルセロナが世界最強で、最もスマートなサッカーをしていたと思うからだ。
イニエスタも大好きだよ。(笑)
実は見にいったんだ、スタンフォード・ブリッジに、2008-2009シーズンのCL準決勝チェルシー対バルセロナ2nd Leg。すごかったよイニエスタの決勝ゴール。
黒川選手は今シーズンは渋谷監督にずいぶんチャンスを与えられていたように思う。
黒川選手は才能あふれる選手だと思うよ。自身もドリブルやパスが持ち味だと考えているようだね。
ただ、今シーズンの試合を見ていて感じたのは、黒川選手にフリーランニングをしてスペースでボールをうけてほしい時に足元に要求したり、ドリブルで突破してほしい時にパスをしていたり、パスしてほしい時にドリブルをしていたように感じた。もちろんこれは私の主観ね。
インタビューの中で自身も「感覚的な部分を味方に分かってもらえないと難しというのは、今の課題かなと思います。」と課題の認識はあるみたい。
だけど感覚的な部分を理解するのは味方かな?
ジネディーヌ・ジダンという選手を知ってるかな?
ジダンが若い頃ものすごく走る選手だったことを覚えているひとはあまりいないんじゃないかな。
ジダンがボルドーからユベントスに移籍した初めての年にトヨタカップを見に行った。確かその時にはジダンはフランス代表に選ばれていたと思うけど、パパンやカントナのほうが有名で、当時そんなに知名度はなかった。
私がジダンを初めて見た時の感想は「え?これがプラティニの後継と言われている選手?そんなに上手とは思わないど、とにかく走るプレイヤーだなあ」だった。(笑)
信じられないでしょ。ジダンが走るプレイヤーって。
でも必死だったんだと思うよユベントスの中で「レギュラー」を取ろうとして。すでにジダンはそれなりに上手かったと思うし、やろうと思えばジダンがパサーになってボクシッチやデルピエロを走らせることはできたかも。俺に合わせろってね。でも自分で走るのね、最初は。
ジダンですら若手時代は封印するのよ、自分のテクニック。
一所懸命ディフェンスするのもジダンがユベントスのサッカー(当時の監督はリッピ。ゾーンプレスは鬼だった。)に馴染もうとしていたのね。
もちろんレギュラーを取ってからのジダンはユベントスで不動の地位を築いていくんだけど。
カンテラ出身のレギュラー選手がたくさんいるバルサとは大宮アルディージャは勝手が違う。
だからたぶん自分の良さを出すにはまずレギュラーを取ってからなんじゃないかな。
黒川選手はユース出身の選手なだけに頑張ってほしいなあ。