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音楽で散歩

ミュージカル『ミス・サイゴン』~美しく切ないデュエット曲『Sun and Moon(サン・アンド・ムーン)』~

投稿日:2017年9月7日 更新日:

この前、近松門左衛門の悲恋物のブログを書いた。

今度は音楽の悲恋物を書いてみたい。

なぜか秋になると私が無性に聴きたくなるのはミュージカル『ミス・サイゴン』だ。

『ミス・サイゴン』はオペラ『蝶々夫人』を下敷きに書かれたミュージカルで、ベトナム戦争を舞台にして、アメリカ兵クリスとベトナムの娼婦キムとの悲恋を描いたものだ。

『ミス・サイゴン』の中でも特に「Sun and Moon(サン・アンド・ムーン)」というキムとクリスがデュエットする曲を聴くと妙に切なくなる。意味なく秋だなーと思う。

私が持っているCDは2種類でオリジナル・ロンドン・キャスト・レコーディング版と帝国劇場ライブ録音版だ。

CDを初めて聴いた時に、衝撃は2回あった。

キムを演じたレア・サロンガの歌声と本田美奈子の歌唱力だ

レア・サロンガの歌声を聞いたときは「なんてうまい白人だろう。こんなに美しい歌声を持つミュージカル女優がいるのか、イギリス人かな?アメリカ人かな?」という感じだった。しかも今まで聞いたことがないような声質だったので尚更だった。

ロンドン・キャストという先入観と満足に予備知識もないままCDを聞いたので、私はてっきり白人のミュージカル女優だと勘違いしたのだ。

それまで私が描いていたロンドンやブロードウェイのミュージカル女優のイメージには勝手なものがあった。

それは”白人と黒人が歌うもの”というものだ。

白人は声量があって、艶のある声を張り上げるようなイメージで、黒人はゴスペルシンガーのように、腹の底から響き渡るように歌うイメージを勝手に持っていた。

白人と黒人の歌い方を誰かがうまく例えていたけど、白人は頭蓋骨で歌い、黒人は全身で歌う、というものだった気がするが、まさに私のイメージもそんな感じだった。

しかしレア・サロンガは白人でも黒人でもない声質と歌い方を明らかに持っていた。

それもそのはず、彼女はフィリピン人だったからだ。

私は衝撃を受けた。

レア・サロンガは声を張り上げたり、やたらにビブラートを利かせたりすることもなく、なめらかで素直で透き通るような声を持っていた。ある意味プロっぽくなかった。

こんな表現ができるひとがこの世にいるのかと、私は一発で魅了されてしまった。

特に「Sun and Moon(サン・アンド・ムーン)」はメロディーラインが際立って美しく、やがて悲恋となる男女の織りなす物語を美しく表現していると思った。

オリジナル版はテンポもゆっくりしているので、のびやかなレア・サロンガの声を楽しむことができる。

確かレア・サロンガは『ミス・サイゴン』のオーディション当時は完成された歌い手ではなく、彼女の才能を見抜いたスタッフがオーディションに合格させ、ダイヤモンドの原石のように、少しづつ彼女の技術を磨いていったというようなことを、当時何かのメディア媒体で知った記憶がある。

才能を育むとはこういうことを言うのではないだろうか。

そのおかげで私はディズニーの作品でも彼女を楽しむことができた。

ディズニーアニメ『アラジン』の中でジャスミン姫とアラジンが魔法の絨毯に乗ってデュエットする『ホール・ニュー・ワールド』という曲をご存じだろうか。

ジャスミン姫の歌の吹き替えをしているのはレア・サロンガだ。

話しが少しそれるけど、私は『ミス・サイゴン』を作曲したミッシェル・シェーンベルクと『アラジン』を作曲したアラン・メンケンが大好きだ。とにかく名曲揃い。

ミッシェル・シェーンベルクは『レ・ミゼラブル』の作曲者でもある。

『レ・ミゼラブル』は当時CDで帝国劇場のライブ録音版を聴いたのだが、聴き始めたら止まらず、最後まで2時間以上ぶっ通しで聴いたのを覚えている。それくらい迫力があった。聴いたのは滝田栄さんのバージョンね。

アラン・メンケンは『アラジン』の作曲のほか、『美女と野獣』『ノートルダムの鐘』『リトル・マーメイド』『ヘラクレス』『ポカホンタス』など枚挙にいとまがないけど、ほとんどCDを持っている。中でも好きなのは『アラジン』と『美女と野獣』かな。

ちなみに作曲はアラン・メンケンではないけどディズニーアニメ『ムーラン』でもレア・サロンガが主人公ムーランの歌の吹き替えをしている。ムーランが自分の本性と葛藤する『Reflection(リフレクション)』という曲が切なくていいですよ。

 

さて『ミス・サイゴン』でキムを演じた女優さんに話しを戻すと、もうひとり衝撃を受けた女優さんがいる。本田美奈子だ。

これも先入観なのかな。本田美奈子は当時アイドルで、私の中でミュージカルと結びつかなかった。

当時ミュージカルでは島田歌穂や鈴木ほのかなどが活躍していて実力派揃い。そこにアイドルの本田美奈子が入ることがピンとこなかったのかもしれない。

でも本田美奈子の歌を聴いた時、そんな先入観はぶっ飛んでしまった。

すさまじい歌唱力だった。

『ミス・サイゴン』で「I'd Give My Life for You(命をあげよう)」という曲がある。

キムがクリスとの間に授かった息子への思いを歌ったものだ。

本田美奈子の歌い方はレア・サロンガとは違う。

なんというか、魂を振り絞るとでもいうのだろうか、すさまじい気迫で圧倒される感じで、言葉では言い表し憎い。

魂を揺さぶられるような感覚に襲われる。

今思うと「I'd Give My Life for You(命をあげよう)」は本田美奈子のために書かれた歌のようにも思えるほどだ。

いつだったか、かつてお笑いの深夜番組で本田美奈子がバラード調の持ち歌を披露したことがあった。確かB21スペシャルのヒロミがパーソナリティをやっていたと思うのだが、本田美奈子が歌い終わった時に、あまりの歌唱力のすごさに、お笑い番組にもかかわらず、雰囲気が一変した。ヒロミの唖然とした顔が映し出されて、しばらくスタジオ全体が落ち着かなかったことを覚えている。それくらい歌の威力は凄いのだ。

『ミス・サイゴン』のプロデューサーであるキャメロン・マッキントッシュも本田美奈子を絶賛していたのを覚えている。

『ミス・サイゴン』帝国劇場ライブ録音版CDの「Sun and Moon(サン・アンド・ムーン)」では本田美奈子と岸田智史のデュエットを聴ける。

クリスを演じた岸田智史の歌唱力も圧巻で「Why God Why?(神よ何故?)」という名曲を歌っている。その他にも市村正親の熱演を楽しめたり、「Bui-Doi(ブイ・ドイ)」 という名曲もある。帝国劇場の演奏もすばらしく、オリジナル版を損なうものはない。

また忘れてはならないのは対訳のすばらしさだ。

岩谷時子が詞を訳しているが、原詞の意味を損なうことなく、かつ歌い手が歌いやすいような対訳にしている。英文と見比べても完璧な対訳だと思う。これは『レ・ミゼラブル』にも同じことが言える。

オリジナル・ロンドン・キャスト・レコーディング版と帝国劇場ライブ録音版を是非聞き比べてもらいたい。

レア・サロンガと本田美奈子のほか、それぞれの歌手の歌唱の違いや、対訳のすばらしさ、演奏の違いなども楽しめる。

 

秋は夏の雰囲気がもたらす陽気で浮ついた心も静め、猛暑で疲れた体も癒してくれるのかもしれない。

秋は涼しくなるだけでなくて、大気が柔らかくなったような気になるのは錯覚だろうか?私だけかな?

心も体もクールダウンして思考のシフトを促される、というような心理なのかもしれないけど、私にとって思考の衣替えにミュージカルは最高の友になる。

タモリや野田秀樹のように、劇中に歌を歌い出すことがどうしても納得がいかないというミュージカル嫌いな人もいるかもしれない。(笑)

私にも、どうしても納得がいかないという友達がひとりいる。不自然だって言うんだね。(笑)

そういうひとにはご・め・ん・ねー♪だけど、そうでないひとにはオ・ス・ス・メー♫です。秋に聴くミュージカル。

『ミス・サイゴン』の「Sun and Moon(サン・アンド・ムーン)」を是非聴いてみてください。切なくて美しいです。いいよ~、レア・サロンガ。

 

余談ですが、

最近はミュージカル女優の新妻聖子をテレビの歌番組で拝見する機会が多い。

新妻聖子が王様のブランチのレポーターをやっていた時によく見ていたので、『ミス・サイゴン』のキム役に抜擢されたと聞いた時にはびっくりした。

また乃木坂46の生田絵梨花もミュージカルに出演していると聞いている。

新妻聖子が大化けした時は見逃してしまったけど生田絵梨花はまだ間に合うかもしれない。(笑)

新妻聖子も生田絵梨花も舞台で拝見したことはないけど、しばらくミュージカルの舞台を見に行っていないので、行ってみようかな。

なにごとも先入観で見てはいけないことを学習済なので。(笑)

 

オリジナル・ロンドン・キャスト・レコーディング版

帝国劇場ライブ録音版

 

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