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書店員まことの晩餐《好きなものを、好きなだけ、はエネルギー》

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書店員まことの晩餐』(さかきしん 少年画報社 2019年)

これも昨年末に《未来屋書店》で面陳列されていたのを発見して買った漫画だ。やはり年末年始はゆっくり本が読めるので、小説や漫画の購読意欲が増し増しになる。そのおかげでこの時も素敵な漫画に出会った。

この前紹介した『舞妓さんちのまかないさん』(小山愛子 小学館 2017年)は誰かのために料理を作る話しだけど、これは違う。自分のために作って食べる、というモチーフの漫画だ。漫画帯には「借家の台所は『厨房』、縁側は『テラス席』」という素敵なメッセージが書かれている。

アインシュタインは相対性理論で「E=mc²(エネルギーは変換できる)」と言ったけど、「好きなものを、好きなだけ」つまり何かにヤミツキになるエネルギーは、日常のありふれた光景を変換する力を持っている。

 

私は料理もしないし特にグルメというわけでもない。ただ、こういう漫画を見ていると、旨そうだなあとか、こんな料理が存在するのかとか、料理にはこんなにヴァリエーションがあるのか、と感心させられる。

作家の池波正太郎もほとんど料理はしない人だったようだけど、料理屋やレストランで自分がこれと思った料理を食べることを好んで、それをたくさんのエッセイに残している。面白いのは、食を好む傾向がすでに小学生くらいの頃から現れていることだ。

『書店員まことの晩餐』の主人公も子供の頃から料理を好んでいたことが描かれている。好きなこと、というのは子供時代に形成されていて、大人になっても変わらないものなのではないだろうか。もし変わってしまったとしたら、好きでなかったか、好きであったことを忘れているだけなのかもしれない。

好きなことにヤミツキになっている人には、好きなことへの心の正直さがある。心の正直さは、他人の目や常識に縛られることなく、自由に行動することを促す原動力になっているように思えてならない。

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