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渡部昇一先生の「ドイツ参謀本部」に見る優れた組織のすがた

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「ドイツ参謀本部」は渡部昇一先生が昭和49年(1973年)に執筆した本で、ドイツ参謀本部誕生の経緯について書かれています。この本を読むとドイツの歴史がよくわかります。小国に過ぎなかったプロイセン王国がいかにして国を強くしドイツの統一を図ったかがストーリーで分かるだけでなく、強い組織とはどのようなものであるかを素人にも分かりやすく解説してくれています。ドイツ参謀本部がその輝きを最も放ったのは、首相がビスマルク、参謀総長がモルトケの時代だったのではないでしょうか。普墺戦争と普仏戦争の勝利は、外交手腕のある指導者(リーダー)であるビスマルクと軍事のスペシャリストである参謀総長(スタッフ)モルトケによってなしえたことがよくわかります。優れたリーダーは優れたスタッフを活かす。これは国や軍隊に限ることではなく、企業やスポーツの世界にも言えることではないでしょうか。ドイツ参謀本部の背景にはクラウゼビッツの思想・哲学・理論が影響を与えていることも見逃しえません。ナポレオン戦争に参加し実戦と参謀将校としての経験を持つクラウゼビッツの「戦争論」は空理空論ではなかった。「戦争は政治である」という結論がフランス革命以降の徴兵制に基づく近代戦争(全体戦争・総力戦)に対処する理論の出発点になっているからだ。「戦争概論」を書いたスイス出身のジョミニとの対比は面白い。ジョミニが戦術を幾何学的ゲームの理論に還元したのに対し、クラウゼヴィッツは全体戦争への展望を示したというのだ。この話しは以前少し紹介した松村尚登さんの『テクニックはあるが『サッカー』が下手な日本人』に似ている。サッカーの本質を理解せず、戦術に還元されたトレーニングはサッカーを上手くさせないというものだ。クラウゼヴィッツの理論は当初プロイセン以外ではほとんど注目をひかなかったそうである。その理論がドイツ参謀本部の頭脳に叩き込まれた時、ドイツは統一を見たのではないでしょうか。もちろん、「師団」という概念を生み出し科学的な戦争を行ったナポレオンという天才をいかに抑えるかという反面の世界がプロイセンを奮い立たせたのかもしれない。ディエゴ・マラドーナを抑えるためにアリゴ・サッキがゾーン・プレスを編み出したように。

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