2017年5月24日(水)19:00 NACK5スタジアム大宮
大宮アルディージャ対清水エスパルス
試合結果 大宮4-0清水(得点者:大宮 4'高山和真 14'黒川淳史 73'岩上祐三 81'奥井諒)
前節のリーグ戦、セレッソ大阪戦のセットプレイでの失点の汚名をそそぐように、コーナーキックから先制点を含む2点を叩き出した。しかも後半にダメ押しの得点があり、かつ無失点での勝利の意義は大きい。清水に走り勝っていたとまでは言わないが、選手も最後までよく走っていたように思う。
この試合で目についたのはFW播戸竜二だ。播戸がホームで先発するのは初めてではないだろうか。播戸のプルアウェイ(相手DFから離れる動作)の動きは本当に素晴らしい。一瞬でフリーになる。重心が低く、いつでもゴールする準備ができている。言葉では表現しにくいのだが「俺にボールをくれっ!」という姿勢になるとでもいうのだろうか。スタンドから観戦していても播戸にボールが出したくなるような”身構え”をする。前半、左サイドでMF黒川淳史がフリーでボールを持った時、プルアウェイでフリーになった播戸がボールを要求したが、パスが出なかったシーンがあった。その後で、播戸は黒川に「なぜアーリークロスを自分に入れないのか」と身振り手振りで感情を交えジェスチャーしていた。大宮の試合ではなかなか見られない光景だ。播戸のようなベテランと黒川のような若手が見られるのもカップ戦ならではで面白い。播戸はクロスボールをもう少しでゴールできそうなシーンが他にあったが、残念ながら得点にはならなかった。しかし常に裏を狙う姿勢とペナルティエリア内での俊敏な動きに衰えは感じない。この野性を感じさせるFWがゴールを量産できるようローテーションを組むことを期待したいと思う。
大宮は今シーズン先制点を取ることに苦戦している。いつも相手を追いかける展開になり、引き離され負けている。先制点が重要な理由は堅守速攻ができるからである。勝ち越されれば相手チームは必死に追いつこうとする。必然として人数をかけて攻めてくるチームがほとんどである。危険に脅かされるが、中盤にスペースが生まれたり、相手最終ラインの裏にスペースができる。そこにつけこんで追加点を獲ることができる。
ダメ押しの得点をあげるには、最後は体力がものをいう。走り負けない体力が必要だ。かつてオシム監督が選手を徹底的に鍛え上げ、それまで格下チームにも僅差でしか勝てなかったジェフユナイテッド千葉を大差で勝てるようにしたのは、技術もさることながら相手チームとの体力の差が歴然としていたからだ。ダメ押しで勝つことほど爽快なことはない。これは私だけでなく、選手もそうではないだろうか。相手との実力の差を実感することもできるし、無失点に抑えれば自信にもつながると思うからだ。