大宮アルディージャは昨日11月26日の第33節のヴァンフォーレ甲府戦の引き分けをもって2部リーグへの降格が決定した。
大宮アルディージャのサポーターとして本当に残念だ。
しかし降格が決まった以上、来季に向かってクラブには動き出してほしい。
すでに大宮アルディージャFW江坂任選手の移籍のうわさが飛び交っているように常にサッカー市場は動いているので今度は失敗しないように(笑)万全の準備をしてほしい。
Jリーグは第34節の1試合を残すこととなった。
降格が決まった大宮アルディージャからすると第34節は一見すると傍観者でしかない。
しかし視点を変えると消化試合ですら傍観者とならないことが見えてくる。
第33節終了時点で1位鹿島アントラーズ勝ち点71、2位川崎フロンターレ勝ち点66となっており3位のセレッソ大阪が勝ち点63のため優勝は鹿島か川崎に絞られたことになった。
ただし川崎はACLの影響で第33節を消化していないためあと2試合残されている。
従って川崎が未消化の第33節を勝つと勝ち点69となり優勝チームは最終34節までわからないことになるが、鹿島が第34節で勝つと川崎の結果いかんにかかわらず鹿島が自力優勝する。
川崎の残り2試合の対戦相手は第33節が浦和レッズ(ホーム)、第34節が大宮アルディージャ(アウェイ)だ。
あくまでもこれは仮想であることを断ったうえで、ここで少し邪(よこしま)なことを考えてみたい。(笑)
川崎に2連勝してもらうのだ。
これは鹿島の力を削ぐことが目的だ。
川崎は鹿島に対して得失点差+11のアドバンテージがある。もし鹿島が最終節で引き分けることがあると勝ち点72で川崎と並び得失点差により川崎の逆転優勝が決まる。
鹿島は収益で浦和に劣るにもかかわらずそのタイトルの保有数が浦和や他クラブを圧倒的に上回るJリーグ屈指のトップクラブだ。
その独走を防ぎたいという思惑がある。
今季はDAZN(ダ・ゾーン)の参入により約30億円の配当金が4位までのクラブに傾斜をつけて支払われるという。開幕当初の情報なので金額など実際はどうなるかわからないがおそらく配当自体はあるだろう。
鹿島が優勝すればより力をつけることになる。
なぜこのような邪(よこしま)な仮想をするかというと(笑)、大宮アルディージャには苦い経験がある。
大宮は主力選手を浦和レッズに引き抜かれ戦力を削がれたことがある。
11月25日のACL決勝にも浦和レッズで先発出場した青木拓矢選手と途中出場したズラタン選手だ。青木選手はACL決勝という大一番で守備的MFとして先発起用され特に守備面で貢献したことは試合を見た人ならご存じだろう。
青木拓矢選手は前橋育英高校から大宮に入団した後、数年間地道にトレーニングに励みレギュラーとなり日本代表にも召集されたことがある才能豊かな選手だった。大宮が手塩にかけた選手ということだ。
ズラタン選手はスロベニア元代表で同じくスロベニア人だった堅守速攻型のサッカーを指向した大宮のベルデニック監督体制下で主力選手として活躍した選手だった。
特に青木拓矢選手は大卒の新人選手が多い大宮の中で高卒の新人選手として大事に育成したにもかかわらず地元クラブの浦和レッズにあっけなく獲得されてしまったのだ。
最もシンプルな方法で戦力を削がれてしまった。
ただし私はこの是非を問うつもりは毛頭ない。
財力があるクラブチームが他のチームから選手を引き抜くことなど日常茶飯事に行われている。
それは財力の差から生まれる力学だからだ。
その後も浦和レッズは鹿島アントラーズからエースの興梠慎三選手を引き抜き鹿島の力を削ぐことにも成功している。興梠選手は今季も得点王争いをしている得点力のあるFWだ。
これも財力のなせる業だろう。
大宮アルディージャは上位にいるこの2チームをいつも下から眺めていた。
しかしそれは同じトップリーグカテゴリのJ1からの眺めだった。
そしてついに降格となりさらに下から眺めることになってしまった。
私には野心がある。
いつかこの2チームに追いつきそして追い越してやるという思いだ。
その思いはJ2に落ちてもなくしていない。
浦和にとっては今季鹿島にリーグ優勝をされることは不本意だろう。
戦国時代ならここに浦和という大国と大宮という小国に同盟が生まれる。(笑)
といっても、もちろん八百長を勧めているわけではないし、その必要も一切ない。(笑)
浦和と大宮には大義名分がある。
リーグタイトルを逃した浦和にはクラブワールドカップで少なくとも一回戦を勝ち抜きレアル・マドリードと対戦する必要がある。それでクラブ収益がどれだけあがるか分からないがそれがミッションだろう。
だから今季リーグタイトルに手が届かない浦和がリーグ戦で主力を投入してケガのリスクを負う必要はないのだ。リーグ戦に大義があるとしたら浦和のホームゲームだということだ。ホーム戦を勝利で飾るのはクラブのミッションでもあるだろうが、リーグ戦とクラブワールドカップのどちらに重きを置くかということになってくる。
これはトップクラブの宿命でACL優勝によって浦和来季監督に決まった堀孝史監督がどう舵を切るか見ものになる。浦和のサポーターはおそらく日本で一番サッカーの見方が厳しいサポーターのひとつだ。
もし主力を落として負けるようなことがあればそれはそれで責められるだろう。しかし同時に鹿島を勝たせたくないという心理も働くはずだ。クラブワールドカップ準決勝進出と、鹿島の優勝を間接的に阻むことができるのは浦和レッズだけになる。
その本音を堀孝史監督がどのように表現するか小国の立場から眺めてみたい。(笑)
大宮については言うに及ばない。
もはや最終節の川崎戦に勝つ必要はない。
そしてたぶんその実力もない。昨日のホーム最終戦を見ていて分かった。(笑)
残り3節時点で就任した石井正忠監督は降格を防ぐという与えられたミッションをクリアできなかった。
その就任時のシチュエーションに同情は寄せるが結果は結果である。
監督を引き受けた以上覚悟はできているはずだ。
石井監督は32節のベガルタ仙台戦の敗北で事実上もうお役御免になっている。
昨日それを労うサポーターからも温かい拍手をもらったはずだ。
だからもうサポーターに気を使うことはない。
むしろ最終節で主力選手に大けがをされては困るのだ。
このことを誠意をもって石井監督に伝える勇気あるクラブ関係者がいることを願っている。
戦国時代に例えれば、第33節の浦和ー川崎戦を含め最終節からクラブワールドカップまで各国の様相を小国から眺めさせてもらう。(笑)
もちろん誤解が無いように言っておきたいのは、そのうえで勝者になった者が誰であれ祝福したいと思っている。
クラブという立ち位置から、ひとつ視点を上げてJリーグという視点から見ると各クラブが強くなっていくことはいいことだし、各クラブが個々でしっかりと力をつけることは国の総力を押し上げ、先々は世界に通用するサッカーを生み出していけると思うからだ。
そしてそういう世界にいられることは幸せなことだと考えている。
視点が変わると物の見方が変わる。
来季大宮アルディージャはJ2に位置することになったが、高い視点を失わなければ自分の立ち位置を見誤ることはない。
一方でピッチレベルの視点も重要になる。
ピッチで何が起こっているのか、という視点だ。
大宮アルディージャを見ているとおそらく高い視点もピッチレベルの視点もそれなりに持ち合わせているのだろうが、そこから導き出される軸になる考えや、行動がぼやけて見えにくいというのが正直な感想だ。
まずはピッチで起こっていることを把握して行動するリーダーは誰なのかをはっきりさせることなのではないだろうか。
それは必ずしも監督だけの仕事とは限らないように思える。
戦国時代なら大宮はとっくに滅んでいるかもしれない。(笑)