昨日は小説と脚本の違いについて書いてみた。その中でやっぱりオリジナルの脚本はいいなあということもあったので、今日はお勧めのオリジナル脚本を紹介することにした。脚本を紹介するというのはドラマも紹介するということでもあるよね。
さて、脚本(シナリオ)を多く出版している出版社はどこだろう?と考えた時にパッと思いつかない。昔は大和書房が戯曲・シナリオ作品叢書みたいのを出していて山田太一のシナリオを読んだりしたことは覚えてるけど・・・。
そこで何となく《紀伊國屋書店》のようなメガ書店の中をうろついて探ってみる。まっさきに目に飛び込んできたのは『獣になれない私たち』(野木亜紀子 河出書房新社 2019年)の単行本。新垣結衣の写真が表紙になっているだけでつい買ってしまいたくなる。いかん、いかん、そういうことじゃなくて、と気を取り直して同じ棚に目をやると、坂元裕二氏の脚本もある。出版社はやはり河出書房新社。
ん?待てよ、そういえば坂元裕二氏の脚本で『問題のあるレストラン』(河出文庫 2015年)をずいぶん前に買って読んでいなかったぞ、しかも河出文庫だったような気がする、と思い出す。いったん退却して出直そうということで帰宅して書棚をさがすと、ちゃんとありました、なんか上の方に。
ドラマを見て面白くて、当時たまたま書店で平積みされていた文庫を即行で買ったのを思い出した。映画化やドラマ化された本にプロモーション用の特別なカバーがかかっているのを購入したもので、カバーもそのままになっている。文庫は2巻に分かれていて、第1巻は女優の真木よう子が鍋掴みをグローブにみたててパンチを繰り出している写真。第2巻はレストランの夜景。おーこれこれ、と思いながらなでまわしてみる。と同時に脚本(シナリオ)は河出書房と頭にインプットされる。
前回のブログで紹介した脚本『泣くな、はらちゃん』が教訓になっているので、今回は小説を読むように脚本を読まないせいか、読み始めたら面白くて止まらない。坂元裕二氏の脚本はト書きも丁寧にかかれているので情景も目に浮かび一気呵成に読める。読める、私にも脚本が読めるぞ!とうれしくなる。
それに『問題のあるレストラン』(フジテレビ 2015年)には男性対女性とかライバル店との対立とかいうテーマもあって、心を揺さぶられるようなインパクトのあるセリフがバンバン出てくる。実際のドラマではこのインパクトのあるセリフをこなせる役者さんじゃないといけないわけだけど、今から考えるとこのドラマは配役が凄い。
主演の真木よう子を筆頭に二階堂ふみ、高畑充希、松岡茉優、東出昌大、菅田将暉など今なら主役級の役者がぞろぞろいる。昨年放送の『俺の話しは長い』(日本テレビ 2019年)で好演していた安田顕も出演者の中の一人だ(このドラマも面白かった)。もちろん真木よう子のインパクトというか魅力が凄かった。
私の友人で真木よう子の活舌やらセリフ回しやらが気に入らないと言っているやつがいたけど、真木よう子の見方が間違っとる、センスねーな、私はそんなことは気にならない。真木よう子には圧倒的な存在感がある!脚本の良さを彼女が引き出していた。いや脚本が彼女の良さを引き出していた。というか真木よう子が好きだ!
この脚本にしてこの役者陣あり『問題のあるレストラン』はそんなドラマだ。