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J・P・ホーガン『量子宇宙干渉機』《異世界に入りました!》

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ふいに、多元宇宙がみずからを癒す不思議な力を理解することができたのだ。

(J・P・ホーガン『量子宇宙干渉機』)

 

先日『王様のブランチ』(TBS 2020.1.25)のブックコーナーの特集を見ていたら、作家の辻村深月が漫画『魔入りました!入間くん』(西修 秋田書店 2017年 最新刊15巻)を紹介していた。魔界に売られてしまう少年の話しだ。少年が通うのは魔界学校で、設定は違うが、モチーフはなんとなく『ハリー・ポッター』に似てなくもない。《未来屋書店》に行くと、最新刊15巻まで、全巻が平積みされていた。人気漫画なのだろう。辻村深月は仕事が辛くなると『魔入りました!入間くん』を読んで、幸せな涙を流すと言う。

漫画コーナーの棚差しの背表紙を見ていると不思議なくらい「異世界〇〇〇〇〇」というタイトルの漫画が多い。『魔入りました!入間くん』も魔界が舞台だから、異世界と言えるし、そもそも漫画自体が異世界を描いている。

物理学には「多世界解釈」というものがある。この宇宙は単一(ユニバース)ではなく、多元(マルチバース)である。いわゆる「異世界」が存在することを示したものだ。この「異世界」が互いに干渉しあっていることを描いた小説が『量子宇宙干渉機』(J・P・ホーガン 創元SF文庫 1998年)だ。異世界同士が互いに干渉するという発想は、おそらく物理学で有名な「二重スリット」を使った光の干渉縞から着想を得たものだろう。

人間によって作られた量子宇宙干渉機によって、登場人物達が異世界間を行き来する。「多世界解釈」というチャレンジングなテーマを描いた物語を読み進めるうち、私はいったい作者はどのようにこの物語を収束させていくのだろう、また収束させることができるのだろうかと不安になったが、読み終わった時、それは杞憂に過ぎなかったことを知る。

私たちはいつでも異世界にトリップしている。棚の本に手を伸ばしてみ給え。

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