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村上和雄先生『人を幸せにする 魂と遺伝子の法則』~人知を超えた不思議な働き「サムシング・グレート」~

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アドセンス PCのみ記事上




人が何かを極めようとした時、辿り着く境地のようなものがあるようだ。

筑波大学名誉教授で遺伝子工学者の村上和雄先生はそれを「サムシング・グレート」と言った。

村上和雄先生は「レニン」という血圧を上げる酵素の遺伝子の全暗号解読に初めて成功された方で、大学退官後には「稲」のゲノム(遺伝情報)解析にも取り組まれている。

村上和雄先生は人間を含め生命と呼ばれるものが遺伝子によって休みなく動かされていることを、人知を超えた不思議な働きだとして、それを「サムシング・グレート」と呼んだのだ。

DNAという物質が遺伝情報が書き込まれた設計図だとすると、設計図通りに細胞を組み立てる建設業者は誰なのか?それが「サムシング・グレート」だというのだ。

これは宇宙についても同じようなことが言えないだろうか。

宇宙には物理法則がある。ニュートンやアインシュタインのように理論や数式でその法則を解き明かすことができる。最近では量子物理学も進み、重力波を計測したというニュースも流れていた。

では物理法則通りに宇宙を動かしている力は何なのだろうか?

これが「サムシング・グレート」ではないのだろうか。

 

DNAに関して言うと私にはもう一つ疑問がある。

DNAが生命の設計図だとすると、その設計図を書いたのは誰なのかということだ。

村上和雄先生の言葉を借りれば、これも「サムシング・グレート」ということになりはしないだろうか。

1953年にワトソンとクリックによるDNAの発見から今まで、多くのひとから遺伝子の働きは固定的なものと考えられていたようだ。遺伝子というと何か運命的に決定された、抗いがたいものというものだ。

しかしその後の研究により遺伝子には働いているものとそうでないものが存在し、かつ遺伝子を働かせるオン・オフのスイッチのようなものがあることが分かってきたのだ。

この遺伝子のオン・オフのスイッチが働くには3つの環境因子の影響があることがわかっている。一つ目は物理的要因(磁気、光、周波数など)、二つ目は食べ物と科学的要因(アルコール、喫煙、環境ホルモンなど)、三つ目は精神的要因(感動、喜び、祈りなど)だ。

村上和雄先生は三つ目の精神的要因に注目した。そしてユニークな方法で精神的要因が遺伝子のオン・オフに及ぼす影響を検証するのだ。

それは吉本興業に協力してもらい、糖尿病患者にB&Bの漫才を見せるというものだ。漫才を見た場合と見なかった場合では、漫才を見て笑った後のほうが血糖値が下がることを確認したのだ。

村上先生は「笑い」という精神的要因が遺伝子のオン・オフに影響を及ぼすことを証明して「心と遺伝子は相互作用する」ことを示したのだ。

 

アメリカのブルース・リプトンという細胞生物学者は、細胞膜は細胞の脳の機能を持つという理論を述べた人だ。細胞にはレセプターというアンテナがあって、このアンテナが受け取る信号はビタミン、ホルモン、タンパク質などの分子や科学的な薬品などの物質だと思われてきたそうだ。しかしそのスイッチを入れるシグナルはそのような物質だけではなく、身体を取り巻く大自然の空気、磁気、波動、音楽や言葉、思い・思考なども大きく影響していることが分かってきたというのだ。

つまり、身体の中の情報からだけでなく「環境」こそが遺伝子情報のスイッチをコントロールする要因になる。

これは生命が遺伝子によって支配されないことを意味し、今までの遺伝子が生命をコントロールするとされてきた考えを大きく変えることになったというのだ。

リプトンの理論は村上和雄先生が「笑い」で証明した「心と遺伝子は相互作用する」という考えとつながっている。

村上和雄先生はこう言っている。「そこで、癒しだったり、感謝だったり、祈りだったり、喜びだったり、悲しみだったり・・・といった、心や魂の働きが人間にとって大切なものになってくるのです」

何を思い、どういう心で一日一日を過ごすかが、とても大事なことになるのです。その思いの質が生きる質であり、または生きる量と関係していくのではないでしょうか?」

この考えは「ひとは一日中考えているものになる」というアメリカの哲学者エマソンの考えにも通じるものがあるのではないでしょうか。

 

さて、ここで「魂」という言葉がでてきましたが「魂」とは一体何ぞや?と思いませんか。

この「魂」についても村上和雄先生は著書の中で恩師の河合隼雄博士のユニークな考え方を紹介している。

「魂などというと『見たことがあるか』と聞かれますが、河合氏は『物事を割り切って考えるのをやめましょう』というのが魂の考え方だと思っておられます。つまり、心と身体があって、その両方を研究したからといって、人間のすべてが分かると思うなよ、ということです。人間はそんなふうに割り切れないのだから、割り切れないということを『魂』といういい方で考えると、分かりやすいのではないかと思います

私は「魂」についてこんなユニークな考え方を聞いたことがなかったから、目から鱗が落ちる思いだった。(笑)

私は河合隼雄博士のことはよく存じあげませんでしたが、村上和雄先生によると河合隼雄博士は当時、行動心理学が主流の時代に似非(えせ)科学といわれた臨床心理学に取り組まれ、書斎から出て、現場一人ひとりの患者と正面から向かい合い、その救済に全力を尽くされた方だそうだ。患者と向かい合った実地での経験から、頭だけで考える人でなかったことが覗える。そういう人だからこそ「『魂』は割り切れないもの」という目から鱗が落ちるような言葉を紡ぎだせたのではないかと思えてくる。

ここからは憶測だが、臨床心理学ですからおそらく相当数の患者の心(メンタル)と身体(フィジカル)を見てきたに違いありません。人の心(メンタル)は移ろいやすいために取り留めもなく、身体(フィジカル)をいくら見ても病気の原因がつかめないような経験をされたのではないでしょうか。だた、その過程で症状が改善したり、治癒した患者もいたのでしょう。もしかしたら河合隼雄博士はその患者に心(メンタル)からも身体(フィジカル)からも読み取れないもの、分からないもの、つまり割り切れないものを感じる一方で、治っていく患者を支えているものが確実にあり、そこに目には見えない、偉大な何か(サムシング・グレート)を感じたのではないでしょうか。それは人の心(メンタル)と身体(フィジカル)をいくら見ても分からなかったということになるから、人間を超えた何か、人知を超えた何かということになるのでしょう。

いずれにしても、村上和雄先生は著書人を幸せにする「魂と遺伝子」の法則』(致知出版社)の中で「魂」の存在を認めている。そして、自分を超えた存在とのつながりを心を使って考えながら「魂は何を欲しているのだろうか」という見方をしたほうが、結果的に人は幸せになっていくのではないかと述べている。

 

村上和雄先生は細胞生物学者リプトンの研究を、これまで細胞生物学と相容れなかった量子物理学の概念を細胞の機能研究に取り入れたことがユニークだと評価している。細胞生物学が目に見えるもの(フィジカル)だとすれば量子物理学は心(メンタル)といったところだろうか。するとそこに橋を架けたのは「魂」(サムシング・グレート)かもしれない。

最後に細胞生物学者リプトンの言葉を紹介しよう。

人間とは、魂が形を変えたものである

遺伝子は単なる生物の設計図にすぎず、意識や環境が細胞をコントロールし、遺伝子の振る舞いを変える

・・・細胞の一つの状態を決めるのが遺伝子でないように、私たちの人生も遺伝子が決めるのではない」(『思考のすごい力』ブルース・リプトン著 PHP研究所刊)

 

※本文には『人を幸せにする 魂と遺伝子の法則』(致知出版社)の中から、主に第4章の「命はDNAに支配されていない」から引用または要約して使用している箇所があることをお断りしておきます。

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