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さかきしん『大正の献立』《食に見る文化史》

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厳しい冬のあとは…必ず春が来ますわ

(さかきしん『大正の献立 るり子の愛情レシピ』)

 

「パンケーキ」という呼び方はここ最近の流行りだと思っていた。私が子どもの頃は「ホットケーキ」と言っていた。純喫茶に行くと今でもメニューに「ホットケーキ」と書かれているけど、カフェに行くと「パンケーキ」になっている。おしゃれなお店では「ホットケーキ」を「パンケーキ」と呼ぶ習わしなのか、なんかしょってるなあ、とも勝手に思っていた。

ところが、「パンケーキ」という呼び方は大正時代に出てくることが分かった。しかも「パンケーキ」ではなく「パンケーク」という呼び名で。

漫画『大正の献立』(さかきしん 少年画報社 2017年)はそんな、今では誰もが当たり前のように食べたり、その名前を口にしている家庭料理の出自を物語の中で教えてくれる。

物語の主人公は若い夫婦だ。夫は貿易商の次男坊で売れない小説家。帝大を出ているというからエリートだろう。奥さんは鎌倉に実家がある。大きなお墓が出てくるところを見ると、それなりの家柄で、女学校を出ているというからこちらは良家のお嬢さんといったところだろうか。どことなく夫婦ともにおっとりしていて、この奥さんが旦那さんのために愛情のこもった家庭料理を振る舞う、という物語になっている。

舞台は大正時代の東京。大正時代と聞いて何を思いつくだろうか?漫画好きなら『はいからさんが通る』(大和和紀 講談社 2016年新装版)なんか思いつくかも。そうハイカラな感じ。まだ日本が西洋の文化を吸収していたイメージが湧く。『大正の献立』にはたくさんの洋食が出てくる。作者は当時の新聞に掲載されているレシュピなども参考にしているみたいだから、実際に家庭で作ることができた洋食ということになる。もちろん和食もたくさん紹介されている。

ちなみに「パンケーク」は大正5年(1916年)の新聞に登場しているようだ。

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