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中山七里『さよならドビュッシー』《設定だけで興味を持たせる》

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昨日も話題にした『王様のブランチ』(TBS 2020.1.25)のブックコーナーの特集で、作家の中山七里は漫画『空腹なぼくら』(友安国太郎 小学館 2019年)を紹介している。主人公はゾンビ。そのゾンビが人類養殖計画を立てる。しかもその養殖計画に元カノをあてようとする。中山七里はこの設定だけで読みたくなったと言っている。

設定だけで読みたくなる。つまりプロットだけで読みたくなるということだ。

最近映画化されて話題になっていた小説に恩田陸『蜜蜂と遠雷』(幻冬舎 2016年)がある。ピアノコンクールを競うピアニストたちの話しだ。恩田陸はこの小説で第156回(2017年)直木賞を受賞した。中山七里『さよならドビュッシー』(宝島社 2010年)は、『蜜蜂と遠雷』が直木賞を受賞する8年前に第8回(2009年)「このミステリーがすごい!」大賞を受賞している。

ふたつの小説に共通するのはピアノコンクールというプロットだ。

ピアノコンクールと言えば必然的にクラシック音楽を扱うことにもなる。中山七里『さよならドビュッシー』はタイトルだけでクラシック音楽を匂わせている。作家や読書家にはクラシック音楽を好む人が多い。有名なところだと村上春樹は大の音楽好きでジャズやクラシック通で知られている。指揮者の小澤征爾と対談ができるほどの知識も持っている。本を読みながら、あるいは書きながらクラシック音楽を聴く愛好家は多いのだ。漫画『のだめカンタービレ』(二ノ宮和子 講談社 2002年)が受けがいいのも同じ理由かもしれない。

プロットで興味を持たせ、手に取らせる、読ませる。もちろんプロットだけでその作品が魅力あるものであるとは限らない。ストーリー(物語)とリアリティを感じさせる描写がなくてはならないのは言うまでもないだろう。『さよならドビュッシー』の描写は本物のピアニストから絶賛されるほどのリアリティがあるのだ。

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