TBSドラマ『ホテルコンシェルジュ』の第6話にこんな話しがある。客室係の亜里砂は感情を表に出すことがない。愛嬌はないが顧客の対応を日々淡々とこなすプロフェッショナルだ。そこに亜里砂が別のホテルで働いていた時の女の元上司が訪れ、ある事件がもとで亜里砂がその職場を退職に追い込まれた時に上司としてかばってあげられなかったことをお詫びする。そして前職でフロント係だった亜里砂が客室係になっていることを、過去の事件と関係があるのではないかと心配する。亜里砂は過去の事件との関連性をきっぱりと否定したうえで上司にこんなことを言う。自分は前の職場で生きた心地がしなかった、いつも笑っていたが、それはお客様と職場の仲間に好かれたいと思っていたからだ、それなのに自分は仲間から嫌われていたことを知った、本当は大きく口をあけて笑ったり、泣いたりすることが苦手で、嫌で嫌でたまらなかった、だから今の職場では一番苦手なことを止めてみた、そうしたら自由になった。
実は私も似たような経験があります。職場ではいつも前向きに明るく元気に振る舞っていました。本当は苦手な”ビジネス”を好きになろうと努力して、ビジネス書や日経新聞を読んで顧客や会社の要請に応えようと必死に働きました。しかし結果は逆でした。上司との関係はギクシャクして仲間からの信頼もどんどん失っていきました。言いたいことも言わず、笑いたくもないのに笑っていた顔は引きつっていたに違いありません。ですので言いたいことをできるだけ言うようにしました。笑いたくもないのに笑うのを止めました。でもドラマのようにはいかないものです。長い年月で沁みついた癖はなかなか抜けず遠慮していましたけどね。(笑)
ドラマでは亜里砂が元上司のことを想って涙を流すラストシーンがあります。泣くことが苦手な亜里砂が本心から流す涙のように見えました。亜里砂は夏菜さんという女優さんが演じています。