7月12日(水)天皇杯の3回戦愛媛FC戦は大宮が延長のロスタイムで勝ち越し、何とか勝ったようだ。試合を見ているわけではないので、内容についてとやかく言うつもりはないが、J2のチームに苦戦しているのがうかがえる。
さて伊藤彰監督が就任してから、愛媛FC戦も含めて負けは1試合しかなく、そのこと自体は以前にも評価した。どうあれ負けないことは大事だ。監督就任と同時にヘッドコーチも変わって、チームの再編をしている最中だと思うので、戦術や選手起用についても模索しているところだろう。ただ、今の段階で少し気になるところを書いてみたいと思う。
大宮は4-6-0、つまりゼロトップに近いサッカーをやっているという点だ。
今の大宮アルディージャのフォーメーションは4-3-3とも4-5-1とも言うことができる。細かく言えば4-1-2-3でもいいのだが、まずFWが3人いるとは思えない。ましてディフェンスに入ると前線に誰も残らないことが多くFWが全くの不在になる。従って速攻も縦へのスピード感が出にくくなる。大宮は遅攻でも横パスが多い。それはFWが相手DFの裏に走ることや、サイドで縦にドリブルを仕掛けることが少ないからだ。
Jリーグ第17節、横浜F・マリノス戦のスタッツを見て、おやっ?と思うデータがあった。スプリント回数は2位の奥井諒の19回をはるかに上回り岩上祐三が1位で28回もあったのだ。走行距離も2位大山啓補を抑えて岩上祐三が11.378kmで1位だった。立派な数字だ。それなのに岩上祐三が右サイドで相手DFの裏をとったり、縦にドリブルをした印象があまりないのだ。だとしたらスプリント回数、運動量は多くても攻撃としての動きの質・量ではないと言えそうだ。私には岩上祐三は攻撃よりも守備に貢献しているように見えた。
一方でもうひとりのFW大前元紀にいたってはスプリント回数、走行距離ともに3位以内には入っておらず、動きの質・量ともに疑問を持たざるを得ない。なぜなら近代サッカーの4-3-3、4-5-1、4-1-2-3のサイドハーフ(サイドのFWでもよい)に運動量がないことは、戦術的に致命的だからだ。(日本代表の原口元気の豊富な運動量などをイメージすると分かりやすいのではないだろうか) スタッツではなく、あくまでも私が試合を見た印象でも大前元紀のスプリント回数と運動量は少ない。特に残念なのは守備から攻撃に転じた時に長い距離を縦に走るスプリントがあまり見られない。スペースではなく足元にボールがきても縦へドリブルを仕掛けることも極めて少ない。
ワントップもしくはスリートップの一角であるFW江坂任はどうかというと、ディフェンスに力を割かれているように思えてならない。大宮はディフェンスラインを高く保つことがあまりなく、自陣に引いて守ることが多い。その際FWの江坂任が中盤のディフェンスをする光景をよく目にする。一見チームに貢献しているように見えるが、攻撃に転じる時に相手ゴールから遠く離れたポジションから走らなければならないので、なんともスピード感がない。
これらのことが、私がゼロトップという理由だ。
ゼロトップでも構わない。縦への攻撃の破壊力さえあれば。
今はとにかくディフェンスを安定させて負けないサッカーをすることが優先かもしれない。
だけどやっぱりつまらないんだな、縦への攻撃がないサッカーは。
あと大山啓補とサポーターで何かあったようだけど、大山は大宮のユース出身だからね。チームへの熱い思いがあったのかもしれないね(^_-)