「この時期、大坂では『鱧(はも)』です。誰が何と言おうと、夏はやはり鱧だと思います」
ー『想い雲 みをつくし料理帖』ふっくら鱧の葛叩き より
主人公の澪(みお)が、江戸っ子が夏に泥鰌(どじょう)を好んで食することに対して言った言葉だ。
今日NHKで京都の祇園祭を中継していた。祇園祭でも鱧抜きでは食は語れないということを言っていた。大阪だけでなく京都でも夏場は鱧が食されていることを知った。番組の中では、祇園の料理屋が紹介され、「鱧のおとし」と「鱧ずし」という料理を紹介していた。鱧のするどい歯や、鱧の骨を切っていく時に使用する大きな包丁も紹介していた。
「鱧を調理するには特別の包丁が要るんですが ー略ー 出来れば七寸(約二十一センチ)以上の出刃。重さが充分にあって、刃先がなるべく真っ直ぐなものをお願いしたいです」(同上)
「鱧の身の中に小枝のように張り巡らされた骨を包丁で切り、口に触らないようにする作業は『骨切り』と呼ばれ、熟練を要するのだ」(同上)
テレビでは確か約800グラムの重さがある包丁を使って職人が小枝のように張り巡らされた骨と一緒に鱧の身を皮ギリギリまで切るところを実演していた。切る時にはシャリシャリと「骨切り」の音が聞こえてきた。私は鱧料理を知らなかったし、まして調理するところなど知らなかったので、みおつくし料理帖で読んだことを視覚で学習することができた。
「大坂では、蒲鉾の材料としても親しまれているが、そればかりではない。鱧は煮たり焼いたり、叩いたり、揚げたり鍋にしたり、と如何なる調理でも美味しく食べられる。殊に、澪は吸い物が大好物だった」(同上)
鱧料理には「鱧のおとし」「鱧ずし」の他にもいろいろなものがあるようだ。祇園祭で食べる鱧料理、いつか食べてみたいものだ。