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大宮アルディージャ観戦日記

国際親善試合 日本代表対ブラジル代表(11/10) 勉強になるブラジル代表の堅守速攻のサッカー。ビデオ判定で審判が誤審するという珍しいシーンも見られた。

投稿日:2017年11月11日 更新日:

2017年11月10日(金)フランス・リール/スタッド・ピエール・モーロワ
日本対ブラジル
試合結果 日本1-3ブラジル(得点者:日本 63'槙野智章  ブラジル 10'ネイマール〈PK〉17'マルセロ 36'ジェズス)

インターナショナルマッチウィークでJリーグもお休みということで、ゆっくり日本代表のテストマッチを観戦しました。

今回の日本代表の欧州遠征は相手がブラジルとベルギーということで楽しみにしていました。特に私が楽しみにしていたのはベルギー代表との試合のほうだった。

現在のベルギー代表にはチェルシーのFWアザールやマンチェスター・ユナイテッドのFWルカク、マンチェスター・シティのMFデブライネのような選手がいて、彼らはレベルの高いイングランド・プレミアリーグの中でも異色の精彩を放っています。

特に私はマンチェスター・シティの若きMFデブライネの動きが好きで、MFのお手本のような動きをするデブライネを日本代表や日本のサポーターが見ることはいいことだと思っていました。

もちろんブラジル代表にもFWネイマールのほか、レアルマド・リードのDFマルセロやリヴァプールのFWジェズス、マンチャスター・シティのMFフェルナンジーニョのような世界的なプレイヤーが多く、今の日本代表がどの程度通用するのか興味はありました。

今回の欧州遠征には欧州のクラブチームで実績がある香川真司、本田圭佑、岡崎慎司の3名がメンバーから外れていたので、ブラジルやベルギーから点が獲れるかな?そんなに甘くないだろうな、と思いつつ、ブラジル代表戦も軽い気持ちで見ていました。

ところが、そのブラジル代表の戦い方に私はちょっと衝撃を受けました。

ブラジル代表が格下の日本代表を相手に堅守速攻のサッカーをしていたからです。

ブラジル代表のようなタレントが豊富なチームに堅守速攻のサッカーをされては日本代表はひとたまりもありません。

日本代表はよく闘っていたと思います。結果的に1-3で負けてしまったけど、全体的にはよく守っていたし、攻撃も悪くありませんでした。後半にはコーナーキックから得点もしているし、GK川島永嗣は2本あったネイマールのPKの内、1本止めています。

ただそれ以上に感じたのはブラジルの守備のよさです。MFとDFの距離感やそれに伴うマークの受け渡しやパスコースの消し方が絶妙で、日本につけいる隙を与えていないように見えました。

解説者はしきりに前線からプレッシャーをかけていけ、というようなことを言っていたけど、おそらくそれだとプレッシャーをいなされた場合、空いた中盤のスペースをブラジルに支配されるリスクを日本代表は恐れていたのではないでしょうか。プレスにいかず、中盤に人員を配置してスペースを消しているように私には映りました。

ブラジルは日本との実力の違いを見せつけるために、中盤でパスを繋いでボールポゼッションをするようなことを一切やってきませんでした。堅い守備からの速攻や、最終ラインから中盤を飛ばして前線にボールを供給する攻撃を意識しているように感じました。

ブラジルの3得点中、2得点はブラジルの速攻でペナルティエリア内に侵入されたことから起こったゴールです。

ブラジルの2点目となった17′のDFマルセロのゴールは直前のプレイでブラジルの速攻を許し、FWジェズスがPKを貰ったことから始まりました。PKはGK川島が止めてくれたのですが、PKでボールをクリアした後の相手コーナーキックからの失点でした。結果的にはMF井手口陽介がクリアミスしたボールを拾われてDFマルセロにシュートを許したわけですが、その前のブラジルの速攻はカミソリのように鋭く、ペナルティエリアでのブラジルFWジェズスの体の使い方も絶妙で、MF山口蛍も思わずファールしてしまったものと思われます。

3点目は36'のFWジェズスのゴールですが、これも速攻からの得点でした。プレミアリーグのサウサンプトンに所属しているDF吉田麻也は同じリーグのリヴァプールに所属するFWジェズスを知っているし、フランス・リーグ・アンのマルセイユに所属するDF酒井宏樹も同じリーグのパリ・サンジェルマンに所属するFWネイマールをよく知っています。DF吉田もDF酒井も流れの中ではよくFWネイマールやFWジェズスを抑えていたと思いますが、速攻を受けては対処に苦慮します。対処が後手に回った結果、失点となってしまいました。

10'にブラジルに与えたPKを含め結果的に前半で3失点したわけですが、世界ランキング2位のブラジルに堅守速攻されて、前半終了時点で試合はほぼ決まってしまいました。

ブラジルが堅守であるという証拠に34'くらいに観客のウェーブが起こっています。これは私の主観ですが、おそらくフランスの観客の「試合がつまらない」というサインです。(笑) そりゃそうでしょう、ブラジルが日本を圧倒する華麗な攻撃サッカーが見たいと思うのは当然です。(笑) でもブラジルは堅守を貫きました。むしろ後半日本がコーナーキックからしっかり得点できたことを評価したいくらいです。

ブラジルのように攻撃に多才なタレントがいるチームが堅守であることに非常に重要な意味があるのです。

それは格下のチームに取りこぼすことがないということです。

このような強いチームを作ったのはブラジル代表のチッチ監督です。チッチ監督は2015年9月に代表監督に就任した後、10勝2分で負けが無いだけでなく、30得点3失点という驚異的な数字をたたき出している監督です。そのおかげでブラジル代表はワールドカップ予選の通算成績を12勝5分1敗(41得点11失点は予選最多得点、最小失点)とし、予選2位のウルグアイに13の勝ち点差をつけてワールドカップ出場を決めています。

今日の日本代表との親善試合はその数字を裏付けるものとして私の目には映りました。そしてそれは非常に勉強になる貴重な経験となりました。

日本代表もこの貴重な経験をワールドカップに活かしてもらいたいと思います。

少し気になったのは、FW杉本健勇を交代出場させるタイミングが遅すぎるということでしょうか。せっかく、FWの香川、本田、岡崎を外して他の選手を試すチャンスがあったはずなのに、19得点でJリーグで得点ランキング2位の勢いがあるFW杉本を投入したのが80'(後半35分)とはどういうことでしょう。オフサイドになりましたがFW杉本は88'(後半43分)にはセットプレイからきれいなヘディングシュートを放っています。FW原口元気、FW大迫勇也、FW久保裕也は見慣れた選手だと思うのですが・・・。

それと細かい点ですが、MF井手口陽介が試合中に何度か芝生に足を取られ転んでいたことは少し気になります。スパイクは芝にあっていたのだろうか?替えのスパイクの用意は?など気になります。MF井手口は代表で最年少の21歳で経験不足と言ってしまえばそれまですが、今日の試合で得点したブラジル代表FWジェズスは20歳で、芝生に足を取られていたことは無いと思いますよ。

 

最後に、今シーズンからブンデスリーガなどで導入されて、その是非について物議を醸し出しているビデオ・アシスタント・レフェリー(ビデオ判定をする審判)について書いてみようと思います。

日本対ブラジル戦で10'にDF吉田麻也が与えてしまったPKはビデオ・アシスタント・レフェリーに判定されたものです。ブラジルのコーナーキックの際に、DF吉田が相手MFフェルナンジーニョを掴んだ(ホールディング)ことによるものでした。ネイマールがニアサイドに蹴ったボールをGK川島がパンチングでクリアしたシーンでしたが、DF吉田とMFフェルナンジーニョはボールからは遠く離れたポジションを取っていました。DF吉田の行為がボールに関与しようとしている選手に対してなされたものなら、まだPKを与えられていても仕方がないと思えますが、このようにボールに関与していないプレイヤー同士の激しいポジショニングのせめぎ合いには、もし主審がそれを見ていたとしても、PKの笛は吹きにくいものです。

にもかかわらず、それが今回あっけなくPKになりました。これは何を意味するかというと。

MFフェルナンジーニョがボールに関与しようとしていたか否かに関わらず、主審がDF吉田のプレイを見ていたらペナルティの笛を吹きましたよ、ということを意味します。

さあ、ビデオ・アシスタント・レフェリーによってこのような事態がおこるようなら有効になってくる戦術があると思いませんか?

そうです、ゾーンディフェンスです。

マンマークをしないゾーンディフェンスなら、この手のPKのリスクを抑えられる可能性が高くなります。

思い出すのは、残念ながら11月5日に解任された元大宮アルディージャの伊藤彰監督はコーナーキックのゾーンディフェンス採用の理由について、選手が自分の立ち位置を明確にできるメリットやブロック取りでブロックされてマークを外されると、相手をフリーにしてしまうデメリットなどをあげていましたが、大宮アルディージャはゾーンディフェンスで失点を繰り返しましたので、私は伊藤彰監督のゾーンディフェンスを採用する根拠に疑問を持っていました。

しかし、ここにきて明確な根拠の仮説が立てられそうです。(笑)

その仮説は、マンマークによるPKのリスクを減らすというものです。

ゾーンディフェンスはマンマークのように人に付きませんから、DF吉田がペナルティを取られたようなことが起こる可能性を低くすることができます。

でもやっぱりゾーンディフェンスはビデオ・アシスタント・レフェリーが導入されてからでいいかな。(笑) 今日のブラジル戦の主審もビデオ・アシスタント・レフェリーから指摘が入るまでプレイを続行していたでしょ。(笑)

 

ところで皆さん気づいたでしょうか?

DF吉田がMFフェルナンジーニョを掴んで倒しているように見えるPKのシーンですが、よーく見るとMFフェルナンジーニョのDF吉田に対するオブストラクションが先です。

スローモーションで見ると分かるのですが、DF吉田は相手DFチアゴシウバをマンマークしているのですが、MFフェルナンジーニョはDFチアゴシウバをフリーにするためにDF吉田の進路を妨害します。おそらくブラジルのサインプレイです。それを証拠にMFフェルナンジーニョは攻撃側なのにもかかわらず、ボールを全く見ずに、DF吉田しか見ていません!つまりDF吉田へのペナルティは誤審です!

百歩譲ってDF吉田のプレイがファールだとしても、もし私が審判なら、MFフェルナンジーニョもDF吉田の進路妨害をしていますから、双方の選手は両成敗でプレイは流します。(笑)

サウサンプトンの吉田とマンチェスター・シティのフェルナンジーニョは同じイングランド・プレミアリーグに所属していますので、後日吉田はフェルナンジーニョにお酒でも奢ってもらったらどうでしょうか?(笑)

イングランド・プレミアリーグではビデオ・アシスタント・レフェリーは導入されていませんので、今回の判定には二人とも驚いたことでしょう。(笑)

今回の件は、人間の目だけなら自然に流れていたプレイへの判定をビデオ判定が誤審に導いた例として記憶にとどめておいたほうがいいかもしれません。

ビデオ判定はゴールを割ったかどうかを見ること、ゴールに結びついたオフサイドの判定、または悪意あるラフプレイを判定する程度にとどめておいたほうが良いかもしれませんね。(笑)

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