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大宮アルディージャ観戦日記

大宮アルディージャが強くならない本当の理由 その1【株主とファンの温度差】「いい夫婦の日」に思う夫婦愛

投稿日:2017年11月22日 更新日:

【事業の要諦は3つしかない】

前回のブログで事業の要諦は3つしかないと書いた。

それは「お客さんを増やす」「客離れを防ぐ」「無駄遣いをやめる」というものだった。

これはどんな事業でも客商売をしている事業ならあてはまると考えている。

これをサッカーに当てはめるとどうなるか書いてみたい。

まず「お客さんを増やす」というのは誰でも分かることだろう。ファンにサッカーを見に来てもらうことだ。

「客離れを防ぐ」とはNTTドコモのようなモバイル事業なら「解約を防ぐ」ということになる。

サッカーの場合なら「客離れを防ぐ」とは「リピーターを増やす」といってもいいかもしれない。

「お客さんを増やし」「リピーターを増やす」ことがサッカーに限らず事業にとって大事なことだと分かる。

その大事なことのために事業者は投資をしなければならない。

もっと分かりやすく言うとお金が必要になる。

無駄遣いをしていては大事なことにお金を使えない。

そこで「無駄遣いをしない」ということが重要になるというわけだ。

「お客さんを増やし」「客離れを防ぐ」ことにお金を使うために「無駄遣いをやめ」て節約するというのが事業にとって大事なことになる。

 

【サッカーで一番付加価値が高いものは?】

クラブチームがサッカーの中で一番投資するものはなんだろう?

それは選手への投資だ。

選手の給料が高いわけだが(笑)、ではなぜ高いのだろう。

それはファンに一番付加価値を提供しているからだ。

ファンは試合を行うサッカー選手を見にくるのだ。

「お客さんを増やし」「客離れを防ぐ」のはサッカー選手ということになる。

そしてもうひとつファンに付加価値を提供するものがある。

それはその選手が試合に勝つことを見せることだ。

ファンはただ単に選手を見に来ているだけでなく選手がゴールをしたり試合に勝つことが見たいのだ。

従ってサッカークラブは必然的にその選手を勝たせるための強化部門に力を入れなければならないということになる。

これがサッカーの基本ビジネスだ。

超シンプルなビジネスモデルとも言える。

 

【超シンプルでありながら特殊なビジネスモデルでもあるサッカービジネス】

およそ事業と呼ばれるものは年次で予算を組んでいる。

損益の予算をたて株主総会で承認を得たうえで予算を実行していく。

年次を通じて予算を達成できたらその事業は良しとされるのが一般的だ。

予算を達成させた経営者は株主からも承認され批難されることはない。

しかしこの部分においてサッカービジネスだけは別物だといえる。

サッカービジネスは損益の予算を達成させてもトップチームが負けてしまうとファン(お客さん)が絶対に納得しないビジネスだからだ。

それがサッカーが他のビジネスと一線を画す大きな理由となっている。

 

【株主とファンの温度差はどこから生まれるか?】

先ほどサッカーで一番付加価値が高いものは選手だと言った。

サッカークラブはその収益規模に合わせて最大限選手に投資しようとするから利益は出にくく薄利ビジネスになる。

つまりサッカーは儲からないビジネスということになる。

通常、株主は儲からないビジネスには投資しない。

これは当たり前の投資の理論だ。

なおかつ収益規模も小さければさおさら興味も湧かないだろう。

しかし逆に言うとサッカークラブに投資している株主は儲からないビジネスに投資してくれている株主とも言える。

サッカークラブが社会に存在する意義を認めてくれているからこそ利益を度外視して投資してくれているのだ。

ファンからしたらそんなありがたい存在はなく、クラブ設立当初はそんな株主とファンの間にも新婚の夫婦のような愛情があったはずだ。

しかし愛情があった夫婦が時間の経過と共にやがてお互いの思いが食い違って次第に関係に溝ができてしまうことがある。

サッカーにもそんな夫婦同様の落とし穴があるのではないだろうか。

株主とファンの間に見えない溝が生まれてしまうのだ。

それはサッカーが特殊なビジネスモデルであることに関係している。

先ほども言ったが株主の視点で見ると年次予算を達成させれば事業は成立しているのだ。

株主からすると年次予算を達成させた経営者を解任する理由が見当たらないことになる。

サッカービジネスでは強化部門が最も大事な部門ということになるかと思うが、株主から見ると仮に強化部門の運営に失敗しても年次予算を達成させていれば事業そのものが失敗したことにはならない。

事業全体からしたら強化部門はひとつのファクターにしか過ぎないからだ。

しかしファンにはその理屈が通用しないのだ。

ファンからしたら「何なんだ!チームを2部に降格させておいて責任を取れ!」ということになり

株主からしたら「何なんだ!経営者は予算を達成させたから責任はない!」ということになる。

株主からしたら薄利経営を承知で投資しているわけだからなおさら責められることに納得感を得にくい図柄になってしまうことがあるのではないだろうか。

表面はファンに謝罪しているように見えても本音は違うものかもしれない。

ここに株主とファンとの溝が決定的なものになる。

しかしこれではダメなのだ。

見えないところで株主とファンの間に溝があると、クラブとファンの間をぎくしゃくさせてしまうのだ。

だから株主とクラブとファンは三位一体でなくてはならないのだ。

株主とファンが相互に理解しないままクラブ運営をし続けるとどうなるかというと「本当にチームを強くするためにはどうしたらよいか」という肝心の要素が忘れられしまい、結果としていつまでたってもチームが強くならない状況が続くことになる。

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