ドイツに2失点した以外は、すべて完封でベスト8に勝ちあがってきたスウェーデンを2-0でイングランドが完封した。
ブロックを作って速攻を狙うスウェーデンをどう攻略するのかと思ってみていたら、イングランドが非常にクレバーな攻め方を見せてくれた。
まず、スターリングという稀代のスプリント能力の持ち主であるFWにDFラインの裏を狙わせた。中盤はがっちりスウェーデンがブロックを作って、イングランドのパス回しをカットしてカウンターを狙っているのがうかがえる。今大会のイングランドは最終ラインからボールを回すビルドアップを好んで行っている。パス回しが仇となって、スウェーデンにカウンターを食らうことは十分に予想された。
イングランドはその裏をかき、中盤を飛ばして前線のFWスターリングにロングボールを供給したのだ。このために、イングランドが縦に攻める意識は失われず、結果的に敵陣深くまで攻めることに成功して、多くのCKを獲得することに成功した。この試合、スウェーデンのCKは1本なのに対しイングランドは6本のCKを獲得した。
イングランドには何と言ってもセットプレイからの得点を得意にするFWハリー・ケインがいる。予選でもケインはCKから得点を生み出していた。うかつにCKを与えたら命取りになるストライカーだ。
そしてこの試合のイングランドの先制点はCKから生まれた。ただし、得点者はFWケインではなく伏兵DFマグワイアだった。身長194cm、体重100㎏のDFマグワイアが、頭がひとつ抜きんでるような高い打点から豪快にヘディングシュートを放った。マグワイアは日本のFW岡崎慎司と同じレスターに所属するDFだ。
このDFマグワイアの先制で勢いに乗ったイングランドは、後半になると、前半と同様にFWスターリングのスピードを使った攻撃に加えて、クロスボールを多用し始めた。それもハイボールを中心にしたクロスボールで、まさに往年のイングランドのフットボールだった。
追加得点になったシーンも、立て続けに左右両サイドからクロスボールをゴール前に叩き込んだ結果、生まれたゴールだった。ただし、このシーンでも得点者はFWケインではなく、伏兵MFデレ・アリだった。MFデレ・アリは初戦で足を痛めて途中交代した以来の先発出場だった。
ただでさえスウェーデンDFはFWケインをケアしなけらばならない。左右からのクロスボールに振られたスウェーデンDFがMFデレ・アリをフリーにしてしまった。うまくDFラインのファーサイドに流れてフリーになったデレ・アリにイングランドMFリンガードから絶妙なクロスボールが入り、デレ・アリのヘディングシュートが決まった。
スウェーデンは後半の立ち上がりにクロスボールからの決定的シーンがあった。また、追加点を奪われてからもカウンターで決定的シーンを作り出したが、イングランドGKピックフォードのスーパーセーブで得点することができなかった。イングランドの完封勝利にGKピックフォードの活躍があったことも忘れてはならないだろう。