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【追悼】野村克也『弱者の兵法』《野村さんは弱者の味方だった》

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野球界の野村克也さんが亡くなった。ご冥福をお祈りしたい。

野村克也さんには「言葉を持った指導者」という印象がある。誰にでも分かる言葉で、野球のことを説明できる。野村さんには独自の人材育成論や組織論があり、その理論は弱者でも強者に引けを取らないようになるためのものだった。しかも、多くの理論が他のスポーツやビジネスの世界にも通用するものではないだろうか。

野村さんは弱者が強者に勝つ方法のことを「弱者の兵法」と名付けていた。個の力が相手よりも劣る場合でも、勝つことができることを信じ、その方法を提唱し続けた。身体のサイズや体力、パワー、すなわち「目に見える力」では太刀打ちできなくても、「無形の力」を駆使すれば勝てると野村さんは言っている。「無形の力」とは、情報収集による分析を正確に行い、そのうえで戦術・戦略を練り、組織で緻密に戦うことを意味しているようだ。「目に見える力」をフィジカルだとしたら、「無形の力」はメンタルと言えるかもしれない。

そんな野村さんの著述の中で印象に残っているものを挙げておく。

弱者の兵法 野村流必勝の人材育成論・組織論』(アスペクト文庫 2011年)

この本は野村さんが2009年に東北楽天ゴールデンイーグルスの監督を退任した頃に書かれたもので、同年に単行本として出版された。2009年は第2回ワールドベースボールクラシック(WBC)で原監督が率いる日本が2連覇した年でもある。まさにフィジカルで優る外国勢に、いかにして勝つかという命題に日本が取り組んでいた時期と重なる。それだけに説得力がある内容になっている。

弱者が強者に勝つという発想はメジャーリーグやアマチュア野球にも流れている。例えば、アスレチックスのビリー・ビーンの革命的なチームマネジメント『マネー・ボール』(マイケル・ルイス ハヤカワ・ノンフィクション文庫 2013年)や、進学校で知られる開成高校野球部の型破りな考え方『弱くても勝てます 開成高校野球部のセオリー』(高橋秀実 新潮文庫 2014年)などが挙げられるだろう。

従来の発想を変え、新しい世界を創造していく。この根底には野村さんと同じ思想が流れている気がする。野球に生涯を捧げた野村克也さんのご冥福を改めてお祈りいたします。

 

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