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ガトリンが世界陸上決勝で経験した不思議な感覚 集中状態を作り出す指導法とは?

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NHKスペシャル『9秒台へのカウントダウン 密着 日本男子スプリンター』(8月19日放送)の中で興味深い取材を見た。

世界陸上男子100メートルで優勝したジャスティン・ガトリンが決勝の走りを振り返って、走っている最中に周りの景色がぼやけて、自分が走るレーンだけが見えるような不思議な感覚を覚えたことを、インタビューで答えていた。子供の頃のように、タイムや順位は気にならなかったという。「子供の頃のように」というのが印象的だった。

逆に言うとガトリンのようなアスリートですら、他のレーンを走るボルトなど、周りの状況が気になってしまうと、自分の実力を発揮できないようだ。

ローレン・シーグレイブというアメリカの陸上コーチは、レースでガトリンが感じたような、まるで自分だけがトンネルの中を走るような感覚を選手に引き出させるために、選手がレースで行わなければならない動作を何度も何度も選手に反復練習させて、外部の影響を受けずに集中して自分のレースができるように指導していた。指導の中で選手には心の持ち方を一切口にしないという。

意識下の集中ではなく、無意識の集中状態とでもいったらいいのだろうか。意識して集中状態を作るのではなく、無意識に集中状態を作ることができるようにするために、反復練習をさせているように私には映った。そんなことを教えられた気がして、たいへん興味深い内容だった。

ローレン・シーグレイブの指導方法はフィジカルのトレーニングなのに、まるで新しい心理学を見ているようだった。

ローレン・シーグレイブは日本男子ではサニブラウンにポテンシャルを感じているようだった。その理由は、ローレン・シーグレイブから見て、サニブラウンがコーチの指導を集中して聞いている態度や、コーチのアドバイスを忠実にトレーニングで実行している姿勢が良く映ったからだった。

よく「選手の才能を引き出す」という言い方がされるが、ローレン・シーグレイブの指導方法は少し違っていて「もともと備わっている選手の才能を発揮させる」というのに近いかもしれない。

ただ、これらのことはスポーツのアスリートのような存在ではなく、普通の人にも当てはまらないかというと、そうでもないような気がする。

例えば、電車の中で自分の大好きな本を読むことに没頭して、駅を乗り過ごしたりしたことはないだろうか。車内アナウンスは聞こえているはずなのに、そういう時は聞こえなくなる。集中している時は時間が過ぎるのもあっという間だ。好きなことをしている時は、意識して集中力を高めようとしなくても、自然に集中できるものだ。もちろん競技者であるアスリートは、無意識に集中できるようになるまでにたいへんな練習を重ねるわけだが、無意識下の集中状態という点では普通の人も体験していることになる。そう考えると、無意識に集中できる物事が、普通の人が才能を発揮させる手掛かりになりはしないだろうか。

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