サッカーは時に戦術ではなくて、経験値がモノを言うことがある。
経験値から直感力を働かして、定石を覆すことで勝利に導くことが必要だ。
第24節の広島戦はまさにそれが必要だった。
広島は4バックなのに両サイドバックが同時にピッチ左右に開く布陣を敷いていた。
DFの裏のスペースはスカスカで4人のDF間の距離も空いているので、そのスペースを狙おうと思えばいくらでも狙えたはずだ。
それなのにそれを見極めて、そのスペースを狙ってフリーランニングする選手が出てこない。
広島は後半になると何を思ったかMF青山を高めのポジションに上げたために、今度は中盤のスペースがスカスカになっていた。
そのスペースを有効に使おうとする選手も出てこなかった。
また、広島のDFの中にあきらかに技術が一段劣っているように感じた選手がひとりいたが、そこを狙い打ちして攻撃しているようにも見えなかった。意味のない横パスをしてその選手から遠ざかったりしていた。
だから私は「ベンチも選手もアホか!相手が弱点をさらしてるのに、なんで浦和レッズの時と同じように闘ってるの!」とイライラしていた。
これは何を意味するのだろう?
と考えた時に思い当たったのは
「相手の弱点を見抜く直感力が欠けているのではないか」
ということと
「与えられた役割や戦術を、実戦の中で柔軟に変える機転や勇気が選手に欠けているのではないか」
ということだった。
だから大宮の試合には野性味や勝負勘を感じない。
戦法をしっかり守って、自滅する軍隊のようだ。切ないよね。
もちろん組織で闘う以上決められたことを遂行することは重要だ。
プロサッカー選手が監督やコーチの指示を忠実に守ってサッカーをやることも知っているつもりだ。だから広島戦もベンチの指示通り選手は動いていたのだろう。
しかし、広島の出来の悪さに気づかず、戦術やポジショニングの修正を行わなかったベンチもベンチだし、指示がなくても自分たちの頭で考え、行動することができない選手を見ていて、少々ガッカリしたのは正直な感想だ。
決められたことを上回るパフォーマンスで期待以上の成果を出せるような自主性に期待したい。
そしてスタジアムを感動の渦に巻き込んでほしい。
今大宮でプレイしている選手は競争を勝ち抜いてJリーグで生き残ってきた選手だ。試合経験も豊富にあるはずだし、肌を合わせれば相手の力量は分かるはずだ。
そんな選手に直感力がないとは思えない。
闘う者には闘った者にしかわからない直感力が身についている。
それを表現できるのも選手の特権だ。
遠慮はいらない、それをピッチで思いっ切り表現してほしい。
広島戦を観戦している時、横に子供連れのお母さんが座ってた。
マテウスがシュートを打つ姿を見て「カッコイイね!」と子供に言っていたよ。
そう、カッコイイんだよ!男が闘っている姿は。
追記:次節第25節は1週あいて、9月9日のアウェー鹿島戦。首位の鹿島にどこまで食らいつけるか。見せてくれ、大宮イレブン!!
8月31日には埼スタでW杯アジア最終予選(対オーストラリア戦)もある。こちらも是非応援したい。(テレビ放送は、テレ朝とNHK‐BS1にて)