9月22日から公開されている映画『あさひなぐ』を観に行った。
マンガが原作だそうだ。
主人公の旭(あさひ)は高校の新入生で、薙刀部の新入生勧誘デモンストレーションで薙刀の型を見て、「かっこいい」と思うセンスを持っている。そして自分が心から歓びを感じられるものとして、薙刀を受け入れていく。旭(あさひ)が初めて手にした薙刀の竹刀を嬉しそうに握りしめて、登校するシーンはとっても初々しい。
ところが旭(あさひ)は中学校までは美術部に所属していて、運動らしい運動をしたことがない。近眼で目が悪いらしく、メガネをつけたまま防具の面を着けるあたり、たどたどしくて滑稽だ。旭(あさひ)は練習についていくのがやっとで、どちらかというと落ちこぼれの風采で描かれている。
部員が寿慶(じゅけい)という薙刀の教士の称号を持つ女坊主にしごかれるシーンがあるが、最近の「褒めてのばす」指導とは対極にあるような「しごき」が描かれていておもしろい。
最近の若者は何事につけ、自分にメリットがないと動かない風潮にあるようだが、映画『あさひなぐ』には、自分にメリットがないと動かない若者と、チームのことを考えて動く若者が両方とも描かれている。そのどちらにせよ、どのように若者が成長していくのかを見るのも、この映画の楽しみかもしれない。
初々しい主人公の旭(あさひ)を西野七瀬、薙刀部のエースを白石麻衣、ライバル校のエースを生田絵梨花などの乃木坂46のメンバーが演じているほか、寿慶(じゅけい)という尼僧を江口のりこ、部活の顧問を中村倫也など、個性的な俳優が演じている。
乃木坂46といえば大人気のアイドルグループだから大忙しのはずで、映画の撮影をする時間を確保することはたいへんなことではないだろうか。映画のパンフレットを見るとクランクインが2017年3月8日、クランクアップが同年4月15日となっており、わずか一か月強で撮影を終えたことになる。よくこれだけの短時間でクオリティーの高い映画を作れるものだと感心してしまった。
少し残念だったのは薙刀部のエースを演じた白石麻衣さんが茶髪だったこと。ライバル校のエース役生田絵梨花さんが黒髪だったのでコントラストを出したのかもしれないが、茶髪と武道の袴姿はアンマッチに映った。白石麻衣さんが黒髪だったら、画面映えしただけでなく、人格を強く描けていた気がする。マンガでどのように描かれているかしらないが、マンガと実写の違いのひとつは色の視覚にある。