昔、フジテレビで『ハートにS X'Masスペシャル』というオムニバスドラマが深夜枠で放送されていました。
その中で「ON AIR」というショートドラマがありました。
ラジオ番組の人気パーソナリティに恋をする若い女性スタッフの話しでした。
若い女性スタッフは人気パーソナリティに寄せる恋を打ち明けられないでいた。彼女はクリスマスの日に実家に帰省することになっている。クリスマスプレゼントも直接渡す勇気がない彼女はそっと彼のロッカーにプレゼントを忍ばせる。
彼女はリスナーの振りをしてペンネームでそのラジオ番組に自分の片想いの話しを投稿する。
帰省の途に就いた彼女がタクシーの中で彼のラジオ番組を聞いていると、自分の投稿した話しが彼に読み上げられる。まさか自分の投稿が読まれるとは思っていなかった彼女は居たたまれなくなり顔を赤らめる。彼はロッカーにクリスマスプレゼントを見つけ、彼女の投稿した話しをラジオで読み上げながら、それが若い女性スタッフのものであることに気づく。
そして彼女のペンネームではなく本名を呼びながら「気持ちは伝わってるよ、メリークリスマス!」とラジオで言ってあげるのだ。
確かそんな話しだったと思う。
ラジオのパーソナリティを入江雅人さん、若い女性スタッフを奥山佳恵さんが演じました。
この時に挿入歌で使われていたのがマライア・キャリーの「Miss You Most(At Christmas Time)」でした。
控えめな女性が寄せる片想いにこれほどマッチする曲はないと思えるほどの選曲でした。
この『ハートにS X'Masスペシャル』というドラマが放送されたのは1994年の12月で、マライア・キャリーの『メリー・クリスマス』が発売されたのが1994年の10月でした。
バブルが崩壊したのが1992年~1993年頃で当時はバブルの雰囲気が世間にはまだ残っていましたから、控えめな女性の片想いを描くドラマと世相のコントラストが新鮮に感じられたことを覚えています。
またマライア・キャリーも当時人気の絶頂で時代を象徴する選曲だったのではないでしょうか。
それにしてもこのドラマの中で使われた「Miss You Most(At Christmas Time)」はクリスマスを切なく過ごす若者には心に響く曲なのではないでしょうか。
当時の私がそうだったように。(笑)
マライア・キャリーのアルバム『メリー・クリスマス』は解説の余地がないほど世間に知られたクリスマス定番アルバムですが「Miss You Most(At Christmas Time)」以外にも名曲が多く含まれています。
私が好きなのは「Jesus Born On This Day」です。これはイエス・キリストの誕生を言祝(ことほ)ぐ歌で、ヨーロッパの聖歌隊を思わせるコーラスも美しい。マライア・キャリーが得意にするゴスペル調ではないところがまた格別にいい味を出しています。
前回のブログでカラヤン指揮『アヴェ・マリア』の中の「オー・ホーリー・ナイト」を紹介しましたがマライア・キャリーのアルバム『メリー・クリスマス』の中にも「オー・ホーリー・ナイト」が収録されています。7オクターブとも言われるマライア・キャリーの声域を聴ける歌唱になっていて、こちらはゴスペル調に仕上がっています。
「サンタが街にやってくる(Santa Claus Is Comin' To Town)」も有名な歌です。私はマライア・キャリーの歌い方はジャクソン5の頃のマイケル・ジャクソンの歌い方にそっくりだと思っています。(笑)マライア・キャリーの歌い方を真似るミュージシャンを見ると、逆にマイケル・ジャクソンの影響力がいかに大きかったかを知るようで面白い。(笑)
個人的には劇団「遊◎機械/全自動シアター」の高泉淳子さんが『ア・ラ・カルト』というクリスマスのお芝居の中で「サンタが街にやってくる(Santa Claus Is Comin' To Town)」をアフロのかつらを被ってマイケルを真似て歌うパフォーマンスが好きでした。(笑)