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名古屋カフェ散歩 その2《物語のようなガイドブック》

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名古屋カフェ散歩 喫茶ワンダーランド』(川口葉子 祥伝社黄金文庫 2019年)は立派な文学だと思った。カフェ文学なんて定義はないだろうけど、それが小説なら、カフェのマスターが難事件を解決するミステリーとか、カフェに集う人たちの人間模様を描く人情劇なんかが思い浮かぶ。『名古屋カフェ散歩 喫茶ワンダーランド』は小説ではないけれども、小説のような物語(ストーリー)を感じさせるものがある。

これを読むと、およそ小説を読んでもそんなに使わないんじゃないかと思うような五感の想像力をフル回転させられる。コーヒーや古本の匂い、料理やデザート菓子の味、陽光や照明の光、陶器の色彩やその肌触り、教会の鐘の音のような生活の音や店内に流れる音楽、静寂、気候、季節感など数え上げたらきりがない。

そして想像力を助けるものとして豊富で魅力的な写真が使われている。短いコラムの中に店舗、建物、土地柄、人柄の背景も何気に記されていて、それが写真と組み合わさった時、まるで一編の物語を読んでいるような感覚になる。

著者が喫茶店写真家であることも知った。著者自身が写真を撮っているからか、文章と写真がマッチしているだけでなく、文章と写真の量のバランスもいいように思えた。

カフェや喫茶店が漫然と羅列されていることもなく、各章は小さなテーマにわかれている。その中にはカフェ特有のアイテムで、例えばスイーツとか、好きなものを見つけることもできる。末巻には地図もついているので、当然、観光やカフェ巡りのガイドブックとして活用することもできるから、こんな神業のような編集がよくできたものだと感心している。

一般的に名古屋人には「名古屋はつまらないところで観光する場所なんてないよ」と自嘲気味に言う癖があるそうだ。その地域の魅力や特徴は、外部の人ほどよく掴むものだということも『名古屋カフェ散歩 喫茶ワンダーランド』は教えてくれている。

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